稲本潤一とワールドカップ

2002年日韓ワールドカップ、稲本潤一の活躍なしに、日本はあれほどまで盛り上がることはなかっただろう。
やんちゃ坊主――まだあどけない笑顔を残していた彼は、日本のワンダーボーイと称された。
2006年ワールドカップドイツ大会、緒戦。
日本のスターティングメンバーの中に、稲本潤一の名前はなかった。
海外でのプレーにこだわり、出場機会を求め転々とクラブを移っていた稲本。
一方、稲本からポジションを奪った福西崇史。
彼は所属の磐田でコンスタントに試合に出続け、代表でもアジアカップの中心選手として戦うなど、着実に実績を残してきた。
海外組を好んだジーコだからこそ、稲本は代表メンバーに選ばれただけなのかも知れない。
しかし灼熱の地で、ワンダーボーイに出番はやってきた。
クロアチア戦後半、動きが悪く足も止まっていた福西。
見かねた中田英寿が福西を交代させるようベンチに要求。
稲本が投入され、持ち前の思い切りの良い守備で、途中出場ながらボランチとして上々の活躍を見せた。
そして、続くブラジル戦で稲本はついに先発復帰。
世界にこだわった者が、世界と戦う権利を得たのだった。