川口能活とワールドカップ
サッカー選手にとって、できるならばやり直したいと思うほど悔やむ、苦い思い出はいくつもあるはずだ。
フィールド上で最も孤独な、ゴールキーパーというポジション。
その孤島でずっと戦い続けてきた川口能活の場合はどうだろうか。
今でも悪夢として称される、2006年ワールドカップドイツ大会の対オーストラリア戦。
日本がワールドカップの本選に駒を進めるためには、予選グループリーグをブラジルに次ぐ2位で突破することが絶対条件とされていた。
しかしその条件は、オーストラリアにとっても同じ。
緒戦に賭けていた。
日本は中村俊輔のゴールで先制するものの、試合終盤でまさかの3失点。
わずか10分足らずの間に起きた惨劇に、選手やサポーター含め、誰もが言葉を失った。
サッカーでは失点の際、必ずゴールキーパーが深く関わってしまう。
84分、敵のロングスローによりペナルティーエリア内へボールが侵入。
それに反応した川口能活は果敢に飛び出し、パンチングでピンチを未然に防ごうとした。
その判断は悪くはなかったが、結果的に日本は失点。
オーストラリアの勢いを更に助長する起爆剤となってしまった。
ギリギリのところで耐えていた壁は脆くも崩れ去り、その後立て直す余地なく一方的な展開に。
ワールドカップという大舞台で、自らの苦手とするハイボールの処理で痛恨のミスを犯してしまった川口能活。
灼熱の地で、眠れぬ夜を過ごしたことだろう。